両建てで節税利益を来年に繰り延べる
両建てで節税含み損を年内に決済し、含み益は年明けに決済する
年末にポジションを両建てして節税する。
FXをやっている人なら一度は聞いたことがある方法ではないでしょうか?
これは実際には節税というよりは、利益の繰り延べ です。
本来今年払うべき税金のもととなる利益を、来年以降に繰り延べることで、とりあえず今年は税金の支払いを免れ、もし来年損したら来年の税金は少なくなるし、儲かったらまた次の年に利益を繰り延べてしまえばいいじゃない!っていう方法です。
では、実際にどのようにしていくか説明していきます。
含み損を年末に決済し、翌年初めに含み益を決済利益が来年に繰り延べられる

12月初めの時点でのFXの確定利益が200万円だったとします。
この利益にかかる税金は20%=40万です。
ここで米ドル/円を10万通貨ずつ両建てします。
レートは仮に1ドル=100円。
そして12月末までポジションを持ち続けます。レートは1ドル=90円となっていたとします。
この場合ロングポジションは100万円の含み損、ショートポジションは100万円の含み益。
ここでロングポジションのみを決済すると、当然−100万円。
今年の確定利益は半分の100万円に減りましたので、税金も半分に!
そして含み益が出ているショートポジションは年を越してから決済すれば、その利益は次の年の利益ですから、今年の利益には入りません。
こうして見事100万円分の利益は来年に繰り延べて、今年の税金を少なくすることが出来るわけです。
これは円高になった場合のシミュレーションですが、もし円安に進んだ場合にはショートポジションを先に決済して、年明けにロングポジションを決済します。
含み損ポジションを決済後、すぐに同じポジションを取り直す
含み損ポジションを決済後、すぐに同じポジションを取り直すレート変動に備える
ただし、この方法にはデメリットがあります。
・売買手数料・スプレッドがかかる。
・ロングとショートのポジションのスワップポイントの差額が損失となる。
・年末〜年始の間にレートが変動した場合に、残したポジションに損失が発生する場合がある。
これらのうち売買手数料やスワップポイントの差額は節税できる金額からすればそれほど多くはありません。(せいぜい1〜2万円)
しかし、年末〜年始にレートが大きく変動するとかなりのリスクです。
先ほどの例ですと、年末にレートが90円だったとして、翌年1月初めまでの間に95円となった場合には、残していたポジションの含み益は50万円に減少してしまい、トータルでは50万円の損失となってしまいます。
このような事態を防ぐためには、以下のようにすることが必要です。
年末に損失となっているポジションを決済したあと、すぐに同じポジションを取り直し、年明けまで持ち続けた後に決済することです。
先ほどの例ですと、年末のレートが90円で一旦ロングポジションを決済。これで100万円の損失確定です。
そしてすぐにロングポジションを同量取り直し、年明けまで持ち続けます。
年明けのレートは95円。
ショートの含み益が50万円、取り直したロングの含み益が50万円で、見事トータル100万円の利益でプラスマイナスゼロです!
※この方法は相場の急変等で大きなリスクを被る可能性があります。 実際にやってみる際にはくれぐれも自己責任でお願いいたします。
※またこの方法は税務当局に「租税回避行為」として問題視される可能性がありますので、注意してください。
まだこの方法についての判例や、税務当局の見解が出ていないようで、実際に税務署の方に電話で聞いてみましたが、「なんともいえない」という回答でした。